シリコーン樹脂とシリコーン変性樹脂とは?構造・特徴・塗料用途を解説

シリコーン樹脂は、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を主鎖に持つ高分子であり、塗料分野では高い耐候性、耐熱性、耐水性、耐薬品性を付与する材料として広く知られています。建築外装用塗料などで「シリコン塗料」と呼ばれる製品もありますが、その多くは純粋なシリコーン樹脂ではなく、シロキサン構造を導入したシリコーン変性樹脂を用いた塗料です。

本稿では、シリコーン樹脂の基本構造とシリコーン変性樹脂の代表的な設計、塗膜特性に及ぼす影響、さらに塗料用途での利用形態について解説します。

シリコーン樹脂とは

シリコーン樹脂の構造式

図1 シリコーン樹脂(ポリオルガノシロキサン)の構造式

シリコン、シリカと似た用語がありますが、シリコン(Si)はケイ素そのものや金属シリコンを指し、シリカは二酸化ケイ素(SiO₂)を指します。これに対し、シリコーン樹脂は図1に示すように、シロキサン結合を主鎖に持つポリオルガノシロキサンです。

塗料用バインダー樹脂としてシロキサン結合を含む樹脂は、実務上は次の2種類に大別できます。いずれも厳密には純粋なシリコーン樹脂というより、シリコーン変性樹脂として整理するのが適切です。

グラフト型

シリコーン樹脂オリゴマーのシラノール基(Si-OH)やアルコキシシリル基(-SiOR)を利用して、アクリル樹脂ポリエステル樹脂にシロキサン鎖を導入したものです。比較的少量のシロキサン鎖でも表面特性に大きな影響を与えられる点が特徴です。

ペンダント型

アルコキシシリル基を側鎖に持つ(メタ)アクリルモノマーと他のモノマーを共重合させて得るタイプです。たとえば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのようなモノマーを導入することで、側鎖にシリル基を持つ樹脂が得られます。

アルコキシシリル基含有アクリル樹脂

図2 アルコキシシリル基含有アクリル樹脂

このタイプでは、硬化過程でアルコキシシリル基が加水分解・脱水縮合して架橋する設計や、あらかじめ架橋した常温乾燥型エマルション樹脂として用いる設計があります。

シリコーン樹脂の特徴

シロキサン結合は C-F 結合に匹敵するほど高い結合エネルギーを持ち、紫外線や熱で切断されにくいため、シリコーン樹脂は耐候性、耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れます。

また、アクリル樹脂ポリエステル樹脂をグラフト型やペンダント型で変性すると、少量のシロキサン鎖でも塗膜表層に -Si-O-Si- 構造が配向し、耐候性が大きく向上します。これは、シリコーン樹脂の有機基が低極性であり、空気側へ配向しやすいためです。

一方で、メチル基やフェニル基が多い系では塗膜表層が低極性となり、炭素系粒子による付着汚染が問題になる場合があります。これに対し、アルコキシシリル基が多い系では、塗膜表面で加水分解してシラノール基を生じることで親水化し、雨水による汚染除去を受けやすくなります。この機構はローリングアップ機構、あるいはセルフクリーニング機構として整理されます。

シリコーン変性アクリル樹脂の促進耐候性比較

図3 アクリル樹脂とシリコーン変性アクリル樹脂の促進耐候性の比較

図3に示されるように、純アクリル樹脂、ペンダント型シリコーン変性アクリル樹脂、グラフト型シリコーン変性アクリル樹脂を比較すると、シロキサン鎖含有量の増加に応じて耐候性は向上する傾向があります。ただし、シリコーン量が増えるほど密着性やリコート性が低下しやすいため、設計ではバランスが重要です。

シリコーン樹脂の塗料での利用形態

純シリコーン樹脂(ピュアシリコーン)

純粋なシリコーン樹脂をバインダーとする塗料は、主として耐熱塗料に用いられます。一般的な耐熱温度は 200〜250℃ 程度ですが、アルミニウム粉体やセラミック粉体を併用することで、さらに高温域に対応する設計も見られます。純シリコーン樹脂は密着性や造膜性に課題を持つため、エポキシ樹脂ポリエステル樹脂をグラフトした変性シリコーン樹脂が用いられることもあります。

シリコーン変性樹脂(高耐候性用途)

グラフト型やペンダント型のシリコーン変性樹脂は、高耐候性樹脂として、加熱硬化型、エマルション型、あるいはポリイソシアネートとポリウレタン樹脂で解説したポリイソシアネートを用いる2液型塗料など、幅広い塗料系で使用されます。

フッ素樹脂は高耐候性樹脂として広く知られていますが、シリコーン変性樹脂は最終的にシリカへ移行する点や、設計自由度の高さから、今後の高耐候性塗料において重要な位置づけを担うと考えられます。

文献

1)日本ペイント(株)、「塗料の性格と機能」、p.115、日本塗料新聞社(1998)

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